■第10回 体を売る青年 ―僕の仕事はゴーゴーボーイ―(4) |
人の顔を見ればいつも「マイミー・タン(お金がない)」と条件反射のように言ってくるM。月の収入はどれくらいなのだろう?
「お店にいるだけじゃお金はもらえない。オフ(連れ出されて)サービスしたらチップが収入になる。最低2万バーツ、多いときは4,5万バーツになるかな」
タイの高卒で月収はおよそ6千〜7千バーツ、大卒で7千バーツ〜1万2千バーツぐらいと言われている。Mの収入はタイの官僚クラスだ。現地採用の日本人よりも多い。6千〜7千バーツで贅沢な暮らしは望めないが、大都会バンコクで生活はできるのである。
高給取りのMは、お店への往復は毎日タクシーを利用し、店の決めた20時まで出勤しないためペナルティーをほぼ毎日100バーツ払っている。仕事が終われば朝までお酒を飲む。
お金に余裕のある日は仕事を休む。そして当日欠勤になるためペナルティーを300バーツ払う。と、ここまで書いて日本の風俗嬢と生活パターンがそっくりであることに気づく。
M、本当にこのままでいいのか!
――マクドナルドの時給が25バーツ。でもあなたは2,3時間で2,3千バーツもらっている。もう普通の仕事はできないんじゃないの?
「そんなことはない。できると思う。・・・・・・でもなぁ・・・・・・。分からない」
――仕送りはしているの?
「うん。1ヶ月に5千バーツ」
――ほかのボーイたちも仕送りしている?
「している人もいれば、していない人もいる」
――仕事のことで自分が差別されていると感じることはある?
「あるよ。そこらじゅうの人が差別するよ」