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風俗情報

 哀愁の売女巡り・テレクラフリークス女(1)

正月連休の最終日1月5日、初詣代わりにテレクラに行くことになった。取材で地方都市に行ったとき、テレクラで現地の女と話して街の状況を探るようなことは何度かしてきたが、あまりにも女の質が悪い上に、かなりの確立ですっぽかされるので、しばらく遠ざかっていた。ネットの出会い系サイトの発達に押されて斜陽が続き、一昨年に施行された新条例で年齢確認のため女性客に身分証提示を義務づけるという悪法が適用されたことにより、テレクラは現在瀕死の状態だときく。あまり期待せず、派手にネオンが輝いてた渋谷井の頭線近くのテレクラに入ってみた。予想に反して店は大繁盛、男性客が多く女性のコールが少ないという最悪な状況で、一時間に一本程度しかコールがまわってこない。ボーッと漫画を読んでても仕方ないので、池袋に場所を変えることにした。

池袋は二十分に一本はコールがかかってくるが、女はサクラでも素人でもなく、百パーセント援助目的の職業女だった。二万くれだの三万くれだの、金がない男は時間の無駄だの、好き勝手なことを言っている。男性客が余ってることを知り尽くしてるようで、滅法強気であり、少しでも気に入らないと「フロントに戻して」と電話を切られてしまう。「私、せっかくなら楽しい人がいいの。あなた暗そうだし、イヤだな。フロントに戻してもらえる」「ホテル代別で三万払えないのね。フロントに戻して」「三十分で終わらせたいんだけど……」と、相当な厳しさであった。見ず知らずの売春婦の人たちとあまり話すことがなかったので、確かに会話は弾まなかった。売春婦なんだから金を払えばいいだろう、というのは通用しないようだ。相手を選ぶ権利ある援助交際をしている自分たちは、風俗とは違うというプライド。男に対して強気でいることによって、自らの売春という行為を肯定してるのだ。

 素の自分では通用しないと悟ったオレは、明るく女に百パーセントあわせることを肝に銘じて、言われるがままの条件で待ち合わせをすることにした。まずは「友達の家にいたんだけど、突然彼氏がきて追いだされちゃった。遊び相手してくれない? でも3つくらい欲しいかな」という恐ろしく都合のいい女。緑のコートに黒いジーパン履いてるという二十三歳は、地味で陰湿で精気が吸い取られそうな薄幸女だった。オレはまだテレクラの出会いに夢を抱いていたので、悪いけどすっぽかした。続いての「二万円くらいお小遣い欲しいんだけど……」という自称二十六歳のOLは、どうもても四十代のババアだった。嘘、偽り、過剰な自己評価、女の汚い欲望が全面に湧いてくるテレクラは絶望的な空間だった。

 中村淳彦TOPへ] [次のページへ] 


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