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風俗情報

  テレクラ放浪記(10)-1 Date: 2004-01-12 (Mon) 
風俗体験取材 末森ケン これまでのあらすじ
「テレクラにかけてくる女は健常者だけではなかった。いつでも、どこからでも無料で電話し放題なテレクラという箱。それは〈外に出たくない事情〉のある女にとっては唯一の避難場所であった。デブ、盲目、精神病者の女たちにも性欲はあった。しかし、現実は健常者の出会いの場しかなかったので、引きこもらざるを得ない。小説、雑誌、テレビなどによってその鬱積は増幅されていった。そして、私と同じようにあるキッカケで彼女たちはテレクラを知る」。

§1・足の不自由な女・ミドリ・18歳。

 身体に障害のある女と初めて会ったのは渋谷のテレクラで、夏休みが近づいていて最後の人妻をと、朝一番に網をはっていた時だった。

 そろそろ昼になるというのにコールは弱くイライラしていた。灰皿は2回取り替えて口の中は苦かった。ガムを買いに外に出ようかと立ち上がったとき電話が鳴った。フロントからで「かなり若い声ですけどいいですか?」という。それは「金目当てかもしれないですよ」との意味も含まれていた。と同時に「それでも繋がらないよりましでしょう」という横柄な態度でもあることは承知していた。客は繋げてもらう立場なので、それに対抗することはできない。私は「ほんとは人妻がいいけど、しようがないですね」と小さく抵抗しながらも電話を受けた。

 「千葉から遊びに来たんですけど、困っちゃって。」と女はいった。

 案の定、金の話らしい。ふだんは「財布をなくした」「友達にお金を返す日だから」「前から欲しかったモノが売っていたので」という彼女たちも、それだけでは能がないと思うのか、この時期になると「夏休みの旅行資金」が圧倒的だ。男としても、ただ金を与えてセックスするより、何らかの理由があったほうが〈人助け〉の意味合いがあって、それこそ言葉どおり〈援助交際〉なので自分に対する理由づけができる。買いやすい理由づけ。そんな心理は女に読まれていた。

 電話の相手は18歳の学生で中肉中背だという。「美人ではないけど、ふつうです」というところからみると男心をくすぐる術も知っているようだ。「どうして困っているの?」と聞くと果して「財布に入れてきたつもりのお金がなくて、買い物ができない」と、考えてきたらしいセリフをいった。「で、俺はどうしたらいいのかな」というと「1万円、お願いできますか?、2時間くらいで」と早口でいった。

風俗体験取材 末森ケン テレクラに電話する若い女は、男の買春欲望をよく知っていた。
自分だったら男はいくらで買うかも自然に学んでいた。その時代のセックス対象となる女の体型、顔を基準にして計算するらしい。
それは少数の例外を除いて不思議と納得できる金額だった。

当時の援交基準額は2万円が相場で、それを要求する女はだいたい20歳前後で、デブでなく、ブスでもなく、〈見られる女〉だった。そこから年代が5歳上がるごとに5千円マイナス、あるいは、ブス度かデブ度により金額が下がるのがふつうだった。
反対に人妻や中年援交の女に限って要求する金額は相場を無視していた。

彼女たちが、男の考える〈女の相場〉を知らないのは無理もなかった。せいぜい週刊誌程度の情報きりもっていなかった。
熟女がもてはやされるのだから私だって、と思うのか〈勘違い女〉も多数はびこっていた。40代半ばとみられるさえない人妻と会ったとき「いくらなんでも2万はキツいですよ。若かったらともかく」とからかうと「私だって20年前はキレイでしたよ」と真剣な顔をされたことがあった。
糸がほつれて手垢だらけで、しかも時代遅れのファーのついた革コートを「新品で買った時は6万以上したんだから」といって3万で売っていたフリーマーケットのババアと同じ発想だな、と感じた。
この法則によれば、18歳で1万というと、よほどのデブかブスか、或いはただの小遣いねだりか、いずれにせよ尋常な援交女ではないはずだと思い〈安売りの理由〉を確かめたくて会う約束をした。

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