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  テレクラ放浪記(11)-1 Date: 2004-01-12 (Mon) 
風俗体験取材 末森ケン これまでのあらすじ
「女を選んでいてはヤるどころか会うこともままならないテレクラという出会いの場所、テレクラ。いつしか、ほとんどの女に発情できる体質になっていた。会えた女は片っ端からホテルへ連れ込んだ。盲目の女、片足が不自由な女、余命いくばくもないことを知っている女、妊娠している女、男顔の〈女〉、エトセトラ。彼女たちは私にとって、性欲を惹起させる物語をもっていた。それを他人は「性的弱者の言い訳」だという。どうでもよかった。金もない、車もない、世間事情にはうとい、ましてやチビデブハゲの五十男だ。私が持っているもの、といえば時間だけだ。くやしいがどうにもならない。女に選択権がある生物世界の定理なのだ。選択権を忘れた女にしかすがる道はなかった」

§1・占いマニアの女・悦子。

 特に注意深く観察しているわけではなかったが、知り合って即ホテルへ行けた女と、援助交際を希望する女の体つきに共通項があることに気づいた。

 羅列すると、デブあるいはがっしり筋肉質、格闘技系の男顔あるいはピカソ顔。身体が曲がっている、手足の爪が変形している、目がすっきりしていない。以上の5点である。

 身体が曲がっているというのは、なんと表現すればいいのか、つまり、すっきりとしない立ち姿で、身体の心棒が曲がっているような女のことだ、そして身体が〈開いて〉いる。これはセックスをしているときだけでなく、遠目にもわかるほどダラーンとした緊張感のない姿だった。手といえばお世辞にも〈白魚のような〉とは言えないがさつな手で、つぶれているかと思えるほど極端に小さな爪を持った女とは多数会っている。

 目も注目に値する。目ヤニ、斜視、白目が黄色に変色している、瞳がぼんやりしている、物を正視せず目線がいつも動いている。そんな女は概して話題がコロコロ変わる。

 それにもまして99.9パーセントそうである特徴がある。

 それは歯が整っていないことだ。私が会った女で〈明眸皓歯〉と言える女を思い出すことは難しい。黄ばんでいる、1本抜けたまま、極端な八重歯、親知らず、一部が茶色に変色している、ミソっ歯、出っ歯、乱杭、あげたらキリがない。それも単体でなく二つ以上が複合している。あまりの多さに気になってこのことを遊び友達の歯科医師に言うと「親の愛情を受けずに育ったてことだよ」とはっきり言った。

 親の愛情と歯?。

「両親が離婚していたり、どちらかがいなかった場合は仕事なんかで忙しくて子供の歯磨きまで手が回らないよね。子供をほったらかして遊んでいる親もそうですよ。そんな環境の子供の食べ物って外食、ハンバーガーとかお菓子とかのファーストフードでしょ。それに片親だとつい子供を甘やかしてワガママでジコチューな性格にしてしまうね」。

風俗体験取材 末森ケン 今まではただのスケベ歯医者と思っていたが、この時ばかりは「さすが」と思った。テレクラで話しているとわかるが、あまりにも自己中心的な考え方な女が多いことに驚くことは珍しくない。なんの話題にせよ「あたしって、あたしって」が主語になる。それに、「それってこうなのかな?」というと、答えの前に「っていうか」が必ずつく。〈「っていうか」「…じゃないですか」会話〉が問題になるずっと以前からである。

「これでは異性どころか友達にも相手にされないのではないかと思うほどである。

 両親が離婚して母親に育てられた女子高生をはじめ、私が会って遊んだ年少の女に家のことを聞くと、はっきりとは言わなかったが親との関係は希薄なようだった。いつか読んだ栄養学の啓蒙書では、米国のハイパーアクティビティ(規律に従わず落ちつかずにいつも動き回る性質のこと。主にそうした子供のことを指す)の原因はジャンクフードである、と指摘している。言うことがコロコロ変わったり、会ってからもつじつまの合わない話をしたり、なんかソワソワしていたり思い当たるふしはたくさんある。「あと、変な言い方だけど歯の治療は金がかかるから、生活は裕福ではないんじゃないかな」と言っていた。「それとタバコは歯と歯茎に悪いんですよ。因果関係ははっきりしないけど、妊娠中に吸っていたり煙の中で育った子供の歯は良くないって言えるね」。つまり、良好な家庭環境で育ったとは言えないというのだ。疑問は解けはじめていた。

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