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テレクラ放浪記(3)-1 |
Date: 2003-05-12 (Mon) |
これまでのあらすじ
「今から11年前(これを書いた時は2年前だったので、本分では『9年前』と表示)の4月、サラリーマンをリタイアした俺は、始めて入ったテレクラで31歳の美人人妻・久美子と出会い、その日の午後に、誘われるように渋谷のホテルでセックスする。今までフーゾクの女しか知らなかった俺は興奮して、この女と会うがため同じテレクラに数回行く。が、会えなかった。2週間後、別のテレクラで二人目の女・30代後半とみられるナオコと出会い即セックス。見ず知らずの女と出会ってセックスできる〈テレクラ〉というシステムを、より知りたいと思い退職金を使って通いはじめる。7月には8人の女とセックスし、友達のためにリポートを書きはじめた。8月、始めて女子高生と援助交際をする」。
8月下旬に初回の失業給付金、19万9千円が振り込まれた。それだけの現金を持っていた時期は珍しかった。
サラリーマンの時は連夜、酒かフーゾクにつぎ込んでいたので2週間もするとほとんどなくなり、短期のサラ金か給料の前借りでしのいでいた。
財布にある金はその日に使い切るのがモットー。週に2回は午後5時ともなると会社を飛び出し、五反田のピンサロ「ニューブルームーン」に直行した。
ここはどこから連れてくるのか、フーゾク未経験の女の子ばかりで、なお指名料込で4千円もあればフェラチオ射精ができた。飲み直しをしても一万もあれば二人とプレイできた。
俺の、新人で素人好みを性癖を知ったスタッフは本番のコと終わった後、いつもニューフェイスをヘルプとしてつけてくれた。次の行った時にそのコを指名すると、かいがいしくサービスしてくれた。
そのサイクルで約8年通い常連になった。
土曜日ともなると午前中は適当に仕事をしているフリをし、他の社員が帰ったあとはホテトルの事務所に電話をかけ、好みの女を探した。今ではホテトルはフーゾクやテレクラ援助交際に押されて、姿を消したが、その当時、渋谷のホテトルは全盛期だった。
ホテトル遊びに本格的に狂ったのは理由があった。
大学生の時、昭和44年頃、アルバイト先の客に渋谷にシマをもっていた〈親分〉がいて、偶然私と同郷だったこともあり、飲みにつれていってもらったり、アメリカ直輸入のポルノ雑誌をもらったりして仲良くしてくれた。その彼の表向きの仕事の件で10数年ぶりに偶然再会し、私が女遊びに狂っていることを知って、彼は自分の組の息のかかった道玄坂のホテトルを紹介してくれた。それまでも時々ホテトル遊びはやっていたが、払う金に値する女は稀で、だいたいが冷めたラーメンのように味気なかった。
紹介されたホテトルは女買いをする俺にとって天国だった。
私は美人でなくてもいいから、恋人気分にさせてくれる女を紹介してくれ、といっていたが、来る女は皆美人でプロポーションもよく、セックスにも積極的で一時ではあったがラブラブ気分にひたれた。
そこはビラやフーゾク新聞で宣伝しているわけでもなく不思議に思って、ある女の子に聞くと、どうやら大企業の接待専門のデートクラブらしく、会員になる資格も厳しくて、相手になる男性は40代以上で必ず都心のホテルを使っている、といっていた。女の子の審査や躾けにも厳しく、客からクレームをつけられると注意されるか即解雇らしい。そのかわり女の子への手当てはよく、1人につき他の業者の3倍、つまり当時のホテトルでは遊び代が2万の場合、女の実収入は1万程度だったが、ここでの遊び代4万のうち女の実収入は3万前後だという。さらに絶対警察ざたにはならないといわれ、決心したという。
俺は事務所のピンハネ分を差し引いた3万だけで、それも時間制限もなく遊ばせてもらった。
第1次ブランドブームの最中で、今より熱く女たちは競って海外の一流ブランド品を買いあさっていた。
特に地方から都心のオフィスへ就職した女は、東京の女に負けたくないというわけか、それにクレジットカードが広まったことも手伝い、素性の知れないモノでも雑誌に載っていただけの理由でわけもわからず買っていた。見栄っ張りで借金生活に不慣れな彼女たちは、クレジットデパートやブランド専門店の餌食となった。
お決まりのコースで、数枚のカードの支払いを済ませると、生活費ギリギリ。キャッシュサービスに手をだし、それが限度になるとサラ金。キャバクラは台頭しはじめていたが、かえって知人に会う可能性も高く、それに出勤時間や同伴の強制など、縛られる部分も多く収入もたかがしれている。当時、自己破産は知られておらず、知っていたとしても今ほどポピユラーではなく犯罪にちかいイメージもあり、短期間に稼ぐには体を…というわけか。デパートの海外商品部にいた友人の分析だった。
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