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  テレクラ放浪記(4)-1 Date: 2003-05-22 (Thu) 
末森ケン これまでのあらすじ
「今から11年前の春、ふらりと入ったテレクラで美人人妻と出会い、熱いセックスを体験した俺は、失業中というのに失業給付金を使ってテレクラに通うことになる。その年末に女子高生二人組が仕組んだ売春詐欺に遭い、7万ほどの金品を騙しとられる。それがキッカケとなり、週刊誌の記事になり、それを見たテレビ局から取材され、それを見た出版社からテレクラ関連の記事を依頼され、職業としてライターを名乗ることになる」

初めてのSM経験

 ライターとしての最初の仕事が連載であったことは私にとって幸運だった。
 毎月テーマ別にテレクラを攻略するノウハウと二人の女との情事を書くことによって、それまで脈絡なく書き綴ってきたテレクラレポートとは別に、テレクラとテレクラに出没する女に対する私の頭は整理されていった。だからといって心理学やら社会学の知識のない私だから、相手の女の事情より自分の性欲を中心に書き進めるだけだった。それでもテレクラという限られたナンパのノウハウは珍しかったとみえ、私の連載は1年に渡って続いた。

 まだネタはあったがその連載は突然休止になった。

 私の記事が原因でその雑誌が神奈川県当局から有害図書に指定されたと担当編集者から聞いた時は特に驚かなかった。なにしろ該当する記事のタイトルからして「援助交際のノウハウ教えます」。男性用には「テレクラ援助女のおいしい買い方」と題して、援助交際専門テレクラ店の見つけ方や、売春詐欺女の見分け方、いかにして素人の女をだまして買いたたくか等について、反対に女性用には「援助交際、賢い売り方」として、いかに馬鹿なオヤジに純情を装って高く売りつけるかのノウハウを指南したのだから、売春を助長する記事として摘発をうけても当然だった。

末森ケン だが、他のフーゾク雑誌を読んでみると、私の記事ほどストレートではなかったが、売春女を買いたたく方法については多少ながら掲載されていた。

 他社の編集者に聞いてみると、どうもこの出版社は以前から当局に狙われていたらしいことがわかった。だいたい書きたいことの大部分は書いてしまったので、定期収入がなくなる以外、特別に惜しくはなかった。それより自分の書いた文が金になったことのほうが嬉しかった。

 約1年の連載期間中にテレクラで知り合った女でセックスした数は25人。5ページぶんの原稿料、税引きで4万5千円が振り込まれると、翌日から三日は連続してテレクラに行った。記事の最終ページに、取材したテレクラの店名を記載する条件でテレクラの個室使用料は無料にしてくれた。

 取材のおかげでテレクラの店員数人とは仲良くなった。

 彼らは毎日数百人の女からの電話を取り次いでいたので、冷やかし専門なのか、相手が気に入ればヤラせる女なのか、それともスッポカシ常連なのか、お話だけの暇つぶし女なのか、売春専門女なのかはわかっていたようだった。

 何回も来ていながら女性と会えず、その度に延長してくれる気前のいい常連客が来店した時は、優先的に会える女からの電話を廻している、と言っていた。私が単独の時とは別に、雑誌の取材でカメラマンや編集者と行った時、どうしても女性に会わないと記事にならない、と頼んだ時は、女性の質はともかく会うことはできた。

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