■ フーゾク探検記(1)-1 | Date: 2003-12-06 (Sat) |
「人前オナニーの生理的解剖学」・テレクラ探検人・末森ケン・55歳。“オナニークラブ、オナクラがフーゾクかどうかは議論の別れるところである。
たしかに「のぞき部屋」みたいに女の体とは非接触で自分の手で射精するのだから馬鹿らしいという意見はごもっとも。だが、金を払って射精するのだからりっぱなフーゾクである。いちおう「のぞき部屋」と同じ範疇に入るのだが〈個人対決〉という観点からは、疎外感のある「のぞき部屋」より親密的であり、一人の女を専有するという意味でも寂しさはない。
「テレクラ放浪記」を終わって次のテーマはフーゾクである。だが、過激なフーゾクへ行く気はない。それを期待しないように切にお願いしたい”フーゾク経験では誰にもひけをとらないと自負している。
「テレクラ放浪記」に書いたとおり20代半ばから40代前半までの20年、女といえばフーゾク女きりいなかった。「抱く」というより射精だけが目的だった。収入の3分の2はフーゾクに使っていた。年間にすれば平均300万ほどだろうか。フーゾク遊びの合間に仕事をしていたといっていい。
取引先に直行する、とウソをついて朝の9時には吉原の超格安ソープで一仕事を済ませ、午前中は仕事をするフリして体を休め、午後は目黒駅前にあったヘルスで年端もゆかぬ若い女の口に射精し、アフター5ともなれば五反田にある有名ピンサロチェーン「ニューブルームーン」のどこかの階段に並び、入店したての素人女を食い物にしていた。ソープ5千円、ヘルス6千円、ピンサロ4千8百円、計1万6千円で3人の女と遊べた。それに飽きると池袋の北口に並んでいたフィリピンやマレイシアの女にチップをはずんで朝までセックスしていた。土曜日は上役がいないので朝から、渋谷道玄坂で配っていたホテトル情報誌を見てその日に遊ぶ女を物色した。給料の前借り、営業経費のパクり、取引先で女好きの男がいれば接待させる、またはこちらの接待名義でソープ通い。資金に困ったらクレジットカードのキャッシング、それでも足りない場合はサラ金回り。街を歩いていてキュッと締まった尻を見て発情すれば借金なんか屁でもなかった。
昭和50年の初期から平成5年あたりまでの20年。ソープで約1200人の女と遊んだ。ホテトルは少なくて500人くらいだろうか。東南アジアの立ちんぼは100人ほど。
ヘルスで本番した女も100人はくだらない。キャバクラ、ピンサロの女と店外デートしたのはずっと少なく50人もいない。
たとえフーゾクであっても、それだけの女と交渉をもてば、何人かの女と私的に交際が始まるのがふつうである。(小説や漫画では時々そういうストーリーがある)。しかし恋愛感情にまで発展した女は一人としていなかった。他人より女に金をかけたつもりだったが好意を寄せられることさえなかった。それは今でもそうである。45歳の時にテレクラを知り素人女を初めて味わった。
ブスブタババアだったが、彼女たちには「物語」があった。フーゾクにはなかった女のナマの事情。顔やスタイルはあまり問題なくセックスに没頭できた。何かの事情。それは家庭不和や学校、職場でのイジメなどで一時的に心のビョーキになったり、あるいは、夫との性生活に不満を持ってテレクラに電話して俺のような冴えない中年男でも親密な時間
を持つ。それが媚薬だった。亡くなった東ノボル氏の傑作、テレクラで知り合った女との情交を描いた「瞬間恋愛」を読んで益々その意を深くした。だからといってフーゾクと全く疎遠になったわけではない。なんといってもテレクラは〈重い〉。時間、金、労力を使ったからといって必ずしも〈いい物語による、いい射精〉ができるわけではない。財布から金を抜き取られたり、まったくの冷凍マグロだったり、STDを疑わせる性器だったり、ホテトル崩れだったり、援交で生活しているナマケものだったり、ホテルへ入ればキャンセルできないつらさがある。
フーゾクを、定価販売品質保証のデパートに例えるなら、さしずめテレクラはセックスの保証はおろか、会えることさえ保証のないという意味ではフリーマーケットである。品質は自分で責を負わねばならない。
デパートはバイヤー次第である。伊勢丹には業界では知られたカリスマバイヤーが多数存在する。最近リニューアルしたメンズ館は、なるほどいい値段である。が、各ブランドショップの壁がなくなり、店内が一望できるシステムは最も金を使う30代の男にとってコーディネイトするには好都合だ。各ショップごとが厚い壁に遮られている現在のデパートは入りにくい、時間がかかる、断りにくいという不便さがある。伊勢丹はそれ以上に店員の躾けがいい。意地悪な質問をしても正確な答えが戻ってくる。「これは綿ですか、ウールかな?」と聞いて、慌ててタグを見る他のデパート店員とは違う。シャツやスーツの袖でボタンのついている切り込みをふつうは「切羽…せっぱ(せっぱつまった、の語源)」というが、「きりは」と発音するショップ店員さえ珍しくない。
フーゾクでもバイヤー、つまり女のコの品質やサービスをマネージメントする店長の存在は重要である。思い起こせば、俺が通ったフーゾク店の責任者はみな優秀なバイヤーだった。毎年2月ころになると地方で出かけて、高校卒業予定ながら就職未定の女を口説いて吉原の自店に誘うソープ「T」の女将K子。ある年末には俺に真正の処女をあてがってくれた。やはり華麗な広告で地方の女を上京させてマンションに住まわせて、最初はキャバクラに入店させて、少し時間が経った頃「もっと金を稼げる店がある」とピンサロに誘うピンサロチェーン「NB」のマネジャーS氏。新人が入店する度に俺につけてくれた。これも優秀なスカウトを数人抱え、とびきりの美女をホテトルに誘い入れるホテトルグループの頭、T氏。女子高生、モデルの卵、美人OL、まぶしい女ばかり紹介してくれた。
今はどうしているか知らないが、他の業界でもじゅうぶん使える腕を持っていた。過去の話ばかりしてても意味はない。今の話に戻る。俺がいま通っているフーゾクは数少ない。初回はオナニークラブである。
オナニークラブ、オナクラは俺にとって最も格安なフーゾクとして使っている。
俺の日常の性生活はほとんどオナニーである、とっても差し支えないほど好きだ。オカズはというと、200人ほどストックを持っている自作のハメ撮り写真ではない。なぜかというと既にやった女には興奮しないからだ。子細なセックス状況を思い出してもつまらない。
オナニーは想像である。この女はどういうキスをするのか?。
唇の感触は。唾液の味は。口腔粘膜の舌触りは。目を閉じるのか。裸にした時の肌の感触は。乳は大きいのか。あるだけなのか。尻の丸さはどうか。ゴツゴツしたものなのか。柔らかいのか。陰毛は濃いのか薄いのか。陰唇はビラビラか、筋がくっきり見えるのか。膣の直径は中指くらいか、3本入るか。肛門のしまり具合は、色は、大きさは。洗ってもいないペニスを即ナマフェラする女か。アナルキスはする女か。舐めるだけなのか、吸ってくれる女か。性交の技術は持っているか。濡れるのか。膣の液体は乳白色か、透明か。声をだすのか、無言なのか。セックスが好きなのか、つきあいでする女か。オナニーはするのか、…エトセトラ。
という具合に想像する。むろんそれは自分にとって都合のいい女。普段はしおらしくて二人きりになるとペニスにむしゃぶりついてくる淫乱女。そんな女である。やった女の特徴を思い出すとじゃまになる。
「エッチは好きなほうです」といってイザとなればキスも形だけで「フェラはうまいですよ」といいながらも、ペニスを出すと「洗ってから」とすげない。挿入しようと膣を確認すれどドライな穴。自分の唾液を塗って脚を拡げる女。ジーパンを脱げばポーンと飛び出す2段腹。黒菊大輪咲のアナルにおまけのイボ痔。思い出しただけでもペニスが萎縮する女。顔はよくてもアレは貧相。穴が良ければお顔は猪。とかくこの世はままならない。新潟魚沼産新米コシヒカリだと思って金を出して喰ってみれば、埼玉たんぼ出とれた古古米だったり。俺がオナクラにハマったのは4年前、「宝島」の取材で六本木のオナクラに取材で行ってからだ。
そこの女は店から管理されていなく、〈出勤時間〉も自由で好きな時に好きなだけいられた。だから、事前に店に電話して在籍確認をしなければスカの可能性もある。
取材に行った日は当たり前だが女がいた。2人とも女子大生で彼女たちとカーテンで仕切られた小部屋に入る。そして両横に座った女の一人が官能小説を読む。それを聞きながら男はオナるという次第である。むろんキスはおろかタッチ厳禁。ただひたすらオナるだけだ。前日にテレクラで人妻とセックスしていた俺は「そんなのイヤですよ。出るわけない」と気乗りしなかったが仕事である。可愛いコでもあり従った。
と、痩せたほうの女がいう。
「オチンチン見せて、お兄さん。どんな顔してるのか見たい」と甘えてきた。ペニスを出す。
「あっ、可愛い。おいしそうジャン。大きくなるの?」。声に刺激されて俺のペニスに血が流れた。もう一人のグラマーな女が「ほんと、皮かむったりして舐めたくなる。舐めていい?」という。
まさかと思って「舐められるの好き」と彼女にペニスを向けた。そのコは顔をペニスに近づけると、舌を出して舐めるフリをした。そして目線を俺に向ける。経験したことのない刺激だった。
「脱いだほうがしやすいよ」と言われてズボンを脱ぐ。彼女たちはそれを手伝ってくれた。
「パンツもとれば」と無理やり楽しくパンツを下げられる。尻肉にあたる女の冷たい手を感じてビクッとする。
「前に立って自分でしてみて」といわれて俺は彼女たちの前で半裸になった下半身を見せながらペニスをさする。
「サオはダメだけど、このくらいならいいよ」と一人が睾丸の下を指でなぞる。なんという快感。勃起した。
「じゃ、あたしはここ」ともう一人の女が俺の尻に割れ目をそっと撫でた。
「ああ、固くなった。すごいすごい。最近、誰に入れたの?」「きのう、テレクラで人妻さんと」「どんな人?」「美人じゃなかったけど、お尻の穴まで舐められて気持ち良かった」「ヘンタイオヤジ」と女が笑う。睾丸をさすっていた女がシャツの下から俺の乳首をつねる。痛い気持ちいい。その女は「シャツも脱いで」といいながらシャツとTシャツに手をかけて脱がせてくれる。全裸になってしまった。「お腹がかわいい。触っていい?」といって俺のお腹をつついた。「かたい。筋肉いっぱいだ」といって何回もつついた。もうペニスはパンパンだ。
尻をさすっていた女が突然いった。
「お尻の穴見たい」。さすがに恥ずかしかったが、反対に露出してみたい願望もわいてきて「いいよ」と答えると「四つんばいになって、もっと見せて」と追い打ちをかけてくる。ソファに犬の恰好をして尻を女たちに向けた。
「これで拭いて」とウエットテイシュを渡され、俺は自分の肛門を拭いた。
「バッチイお尻ね。イヤらしい穴」と女が顔を尻に寄せ、息をふきかける。人前で肛門をさらす快感を初めて知った。射精のためのコンドームをつける。女が俺の尻の前で穴を舐める音をさせる。
「こうしてもらったの?、ベロベロ」。ペニスをしごく速度が自然と早くなる。「いっぱい出して、オジサン」の声で射精した。
プレイが終わって雑談する。話ではMの男性にはこのくらいのサービスはするのだそうだ。実際に男の裸を見るのは好きだという。それに自分の発した言葉で男が興奮するのを見ると、自分でも興奮するという。