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風俗情報

 「新しモノ好き」(5)-4

 小雨が降っている。傘を持っていなかったので、けっこう濡れる。恋愛至上主義者としては、あまり濡れほそぼって貧乏臭い外見になるのは望ましくないところだ。

「ごめ〜ん! 傘なかったんだ!! お店の人に言ってくれればよかったのに!」

 ビルから出てきて、いささかハスキーな声で明るく声をかけてくれたリリちゃん。写真のイメージとまったく違う。写真からは、どちらかと言えば根暗な不思議ちゃん系だと予想していた。これも後からホームページで調べたデータだが、彼女、「内田有紀似」ってことになっていた。店で見せてもらった紹介写真よりずっと内田有紀似である。この店の経営側に一言言いたい! 紹介写真の写り悪すぎ! リリちゃん、実物はかなり可愛いぞ! 提灯記事でもなんでもない。素直な感想である。こりゃ、店で見せてもらった他の女のコも、もしかしたら3割増しくらいの容姿なのかもしれない。我々からすればうれしい誤算であるには違いないが、紹介写真は現物の3割増しくらいの「写り」でちょうど良いのではなかろうか。そのくらいのギャップがちょうど文句の出ないギリギリのラインだと思うし、それくらいのほうが店全体の雰囲気にゴージャス感が出てくるものだ。

 その想いを正直に彼女に伝えてみると、

「よく言われるんだよね〜。今度店の写真変えてもらおうかな? ははは……」

 下町系のがらっぱちといった感じのしゃべり口調。性格としてはキライではないが、この手のタイプは往々にしてSEXもがらっぱち、つまり「艶」に欠ける場合が多かったりする。顔が好みだからといって、たとえば彼女の電話番号をゲットすることに成功して、店外デートにまで持ち込めたとして、運良く付き合うまでに到ったとしても、SEXに味わいがなければ長くは続かない。僕はそういう男である。だから、このようなタイプの女のコに風俗で会った時は、なるべくプレイ中にどのような性癖の持ち主であるかを見極めるよう努力することにしている。シャワーを浴びて、ベッドに並んで2人ちょこんと座り、

「どーします?」

 と、彼女から聞いてくる。

「なるべく彼氏彼女みたいにやっていい?」

 と、僕は返す。気に入った女のコにあたった時によく使う手口だ。

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