■ 『GOKU・RAKU』 | Date: 2003-10-11 (Sat) |
○GOKU・RAKU ダルビッチサセコ …
「じゃ、先上がってるから」
N君が湯から上がりながら言った。
(ふんだ、初めて二人きりで温泉にやってきたっていうのに。最近はろくに身体も触ってくれないし、SEXも自分だけイってすぐに終っちゃう。寂しいな……。お付き合いしていても、一緒にいても寂しいってことあるんだな……)
私はちょっぴり感傷的になって空を眺めた。木と木のわずかな隙間から見える星たちが、冷たく煌いている。お湯に目を戻した私は、なんだかもの足りなくて自らアソコに触れてみたり、胸を半分だけ出してみたり、した。
その時だった。突然あたりの電気が消えた。私は闇に包まれた。星の光も自分の手足さえも照らしてはくれない。怖がりの私はだんだん気味が悪くなってきた。
そこへポチャッと、湯舟に入る音。人影が近づいてくる気配。貸切の露天風呂で周りは木で囲まれているから、N君と私以外の人が入ってくることはまず不可能だ。
(なんだ、戻ってきてくれたんだ)
私はほっとした。そして嬉しかった。でも素直にそれを表してしてしまうのもつまらないので、少しすねた様子で後ろを向いてみた。すると彼は何も言わない代わりに私の背中を後ろからふわっと抱きしめた。たくましい腕が私の身体を優しく包み込む。背中越しに彼の鼓動が伝わってくる。首筋に
熱い息がかかる。胸がどきどきした。私はこの体勢が大好きなのだ。だって自分が彼のなにかとても大切なモノになったような気がしちゃうし、何者からも守ってくれるような感じなんだもん。
そのうちに身体を抱いていたかと思われた両手が優しく私の両胸を包み込んだ。そして包んだ指のうちの二本がその既に硬くなっている部分をつまむ。柔らかく、ゆっくりと。単調なリズムでつまみ続ける。一定のリズムだからこそ神経が集中して、なんだか感じちゃう。くにくにとつままれた部分がますます硬くなるのが自分でもわかった。どの位そうしていただろうか、私の身体はただ胸をつままれているだけなのにほてってきた。アソコがお湯の温度よりも熱くなって、じーんとする。
「お湯の中なのに、濡れてるのがわかるよ」
彼は左手は胸に置いたまま、私の大切なところを触りながら耳元でささやいた。私はたまらなくなった。そして思わず後ろに手を回してそれを握った。少し早いペースで上下する。先のほうがぬるぬるしてきた。
(あん、N君だって)そう言ったつもりが声にならない。私たちはまっくら闇の中でお互いを触れ続けた。
既に胸だけでもしびれちゃってる私は、その場所を軽く触れられているだけでイってしまいそうだった。目隠しをされたかのような暗闇だから、次は何をされるかわからない。そんな怖さと期待が入り混じって、私の脳を刺激した。
でもいいかげんのぼせてきたのか頭がモーローとする。そんな中突然、N君は私の身体を立たせ、岩壁に手をつかせた。
(まさか、ここでやっちゃうの?)
まっくら闇でも巧みにN君のそれは私の洞窟を探し出し、一気に挿入した。
(あっ、あん。声が出ちゃう。いくら貸切って言ったって、両脇には同じような貸切の露天風呂がある。声が聞こえちゃう……)
でもN君はそんなことにお構い無しにバックでどんどんと突いてくる。私は片手で口を抑えた。まっくら闇でクチュクチュという出し入れの音だけが鳴り響く。N君が何回も何回も体位を変えるのがわかった。私はなされるがままだった。頭の中が真っ白になったのはのぼせたせいなのか、快感からなのか。相手の顔も見えない暗闇の中で、私達それこそ原始に戻ったサルのように何回もイってしまった。
「ゆりか〜、どうしたんだ。メシが冷めちまうぞ」
聞き覚えのある、Nの声がした。
(えっ、じゃあ、一緒にいるのは……?)
丸いつぶらな瞳が、こっちを向いてきらっと光った気がした。そして
「ウキッ」
と1声。茶色い何かが、森の中に消えていった。