『惑星モケリアから愛をこめて』 Date: 2003-10-11 (Sat) 

○惑星モケリアから愛をこめて〜三万光年的超☆距離恋愛編   ダルビッチサセコ …       
ハッブル宇宙歴203億1873万0005年。ここは私に与えられた宇宙船の部屋の中。無事地球人との共同任務を終えて、本部のあるシャラク星へと戻る途中。最後の調査星だったソレカ星から現在リニア飛行とワープを23回繰り返し、一万三千百三十二光年前進したところ。

私の名前はユリティシモ。私のことを優しく抱いてくれているのは今回の任務の総指揮官であり、地球人でもあるT。あと19時間23分04秒後には私はTとは別れて帰星の為、生まれ故郷である惑星モケリア行きの宇宙船に乗っていることだろう。モケリアに帰ればHOナンバーMb559037843との結婚が待っている。HOナンバーMb559037843はモケリア星府が極秘に所有する大型コンピューターで総合確率論を駆使してはじき出された、私にとってモケリア星全土で最も優秀な子供が生まれるとされる相手だ。テレビ電話で話したけど、ちっともタイプじゃなかった。アンテナひげをあんなに何本も伸ばしちゃった相手と、どうやってキスすればいいっていうのよ。エリートなのはわかるけど。

リニア飛行中は重力を私達が生活している星と同様に保つわけにはいかず、無重力状態にせざるを得ない。そしてこのような無重力の空間では少しの運動でもかなりの力が生まれる為、下手に身体を動かすとすぐに頭をぶつけてしまう。だからだろうか、Tは触れているのかいないのかわからないくらいかすかに私に触れる。唇で、舌で、指で。私のアンテナと胸の先が弱い事を知りつくしていて、特にそこばかり集中的に攻める。(ああん、そんなにしたら……)

「すごい核反応だよ。ニュートリノも大量発生中」

私の身体の中心を、中指で観測しながら彼が言う。身体がとろけそう。私の身体から愛液が水塊を作ったりしないように(だって恥ずかしいじゃない?)私は彼の指を挟んだまま、足の付け根をぎゅっと締めた。

今度は私の番。ゆっくりとペニスの頭から下に向かってぺろぺろとなめてゆく。静かな宇宙船の中に、彼のかすかな吐息とぴちゃぴちゃという音だけが響き渡る。私は彼の身体に少しだけ力を加えて上のほうに浮かばせた。右手で優しくペニスをストロークしながら、睾丸からお尻の穴のほうまでなめていく。二人とも宙に浮いているので非常になめやすい。左手でお尻を撫でてあげると彼のペニスはますます硬さを増した。続けて吸いつくようなバキュームフェラ。

耐えかねたのか彼が上体を起こした。たくましい腕が私の肩を抱き、彼の硬いものが私のミクロコスモスに挿入されてゆく。
「ああっ、ん……」

私の唇から思わず声が洩れた。
「第一ミサイル装着」

彼がふざけてつぶやいた。正常位では身体を壁にぶつけやすいので、私は彼を包んだまま回転して、宇宙船の窓の前でバックになった。 
窓からは無数の星たちがきらきらと輝いているのが見える。その中に私の大好きなハニャラ星を見つけた。ハニャラ星は愛する者の為に命を落とした人の魂でできているという言い伝えがある。実際は現地調査がとっくに入っていて、白いおたまじゃくしみたいな浮遊物がいくつも漂っている原因は科学的に証明されているけど、私はそれでも青白い光を放つその星が好きだった。私は窓の超強化ガラスの上からハニャラ星に手を置いて、身体を支えた。これでまたこの星に思い出ができてしまった。結婚してもハニャラ星を見るたんびにTを思い出すだろう。私の最後の恋。気持ちが溢れた。

「中で出して、お願い」

私は思わず叫んでいた。私たちはどうやっても現状の宇宙法を改正しない限り結ばれない身。でも愛してしまったこの気持ちは宇宙の闇に葬ることはできない。ブラックホールも飲み込んではくれない。なぜ違う星に生まれてしまったのだろう。なぜ一緒になれないのだろう。異星人同士から生まれた子供は、すぐに死んでしまう確率が高いからか。また確率か。確率確率。なぜ失敗する確率の事しか考えないのだろう。

「いいのか?本当にいいのか?」

「いいの。最後のお願いをきいて」

彼はちょっぴり悲しそうに笑い、総指揮官としていつもの凛々しい調子で言った。

「第二ロケット発射」

その口調に思わず二人で吹き出した。長く苦しかった任務が今、ようやく終ろうとしている。そして私たちの報われない恋も終焉に向かっている。声色がいつもよりちょっとだけ悲しそうに響いたのは私の思い違いだったのだろうか。アンテナひげとはこんなばかばかしいやり取りはできないだろうな。熱い液体が身体の中に注ぎ込まれるのを感じた。白濁した液体の一部が膣の外に流れ出て、いくつかの塊を作る。無重力空間でフワフワと浮かぶ半透明のそれはところどころきらきらと輝いて、一度だけテラ地球で見た雲海のようだった。私は顔を近づけてそれらをすすった。塊の一つが顔についたけど気にしなかった。彼の全てを受け止めたかった。

[BACK]  [TOP]  [NEXT]


Copyright(c) 2003-2006 YABOU NO TEIKOKU All rights reserved.powered by Press HTML