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風俗情報

 池袋で西川口流(2)

 エレベーター内の張り紙「風俗店、暴力団の事務所とわかれば、ただちに賃貸契約を解消して立ち退いてもらいます」も利き目はなかった。
 ある一室のチャイムを鳴らすと、電話の声の男が出た。中肉中背の体に厚手のジーンズのシャツにGパンを着こみラフな格好だ。銀ふちのメガネに耳を隠すほど伸びた長髪で一見すると文化系の大学生にも見えた。壁のふちに立っているのは50代の細みの温和なオヤジで髪は薄くてハゲあがっていた。こちらは白のワイシャツに黒のスボンだが、ネクタイはしめてなかった。よく見ると細い目じりに刻まれた顔のシワは人生の苦労の様子がうかがえた。
 何かあったら逃げるつもりだな、そんな雰囲気が感じられた。奥はカーテンが敷かれ中が見えないが、2人が寝泊まりしている様子だ。


 そして部屋は何もなく事務用の机が玄関近くに置かれているだけ。そこで大学生風の男が座り料金システムを説明した。
「50分で1万2000円は性感コース。1万8000円ですと最後までヤレます」
 おいおい、新聞には1万2000円としか明記してなかったぞ。
「写真指名は2000円、あと10分の延長につき3000円ずつ上がってゆきます」
 男は早口で喋り続けた。俺は覚悟を決めて合計2万円を男に渡し写真指名で遊んでみることにした。テーブルの上には、きょう出勤の3名のコのポラロイド写真が並べられた。
「このコは、きょうが初めての出勤です。仙台出身のコですよ」
 大人しい丸顔のOL風なコ(24歳)だったが、仙台出身となるとホテトル経験があるな。
 仙台はホテトルが盛んだから、ピンときた。風俗遊びでは新人とか素人が人気が高いが、この女はこの店が初めてでありプロの風俗嬢だろう。
 他に目を通すと、ガングロに茶髪のコギャル(18歳)、地味な顔立ちのコ(24歳)だ。
「うーん、迷うな。ちょっと他の在籍のコも見せてもらえます?」
「えっ」
 男は俺の言葉に驚き、20名ほどのポラロイド写真を取り出した。
 俺はすばやく目を通すと、色白の清純な学生風のコに目が止まった。

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