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風俗情報

 カップル喫茶(4)

芸術座を横切り道路を渡る。飲食店が並ぶ商店街の通りに入りアイカワは足を止めた。
「ここよ」
「ここかあ」
 寿司屋と焼肉屋をはさんだ細い路地に白いタイル張りの雑居ビルがある。古びたラブホテルのピンクと白の看板が見える、奥にはタイ料理屋があった。なんとも目立たない場所にあったもんだ。このビルの狭いエレベターにアイカワと乗りある階で降りた。
 目の前には収容所のような頑丈な鉄の扉が二人のゆくてを阻んでいた。俺の頭上では監視カメラが睨みをきかせている。しばらくして、ガチャリという重い鉄の音がして、俺たちカップルは店内に入ることが許された。
……!!
 俺の目の前に12畳ほどの広さのフロアーが広がっている。公園のベンチのような細長い椅子にカップルが4組みほどいるのが分かった。フロアは、まっ暗で床の間接照明だけが、唯一の明かりだ。ここはプライバシーを守るための観用植物は置いてなく、カップル同士が向き合い座っていた。手前の薄地のカーテン横にハンガーがありコートなどがかけられている。俺の立っている入り口右手はドリンクを出すカウンターがあり、どうやらスナックを改装したようである。カウンターに灰皿とおしぼりを暖めるボックスが置かれ、その上に客の伝票が乗っていた。なかでも、洗いものをする流しの横で小型のモニターが設備されていた。これで入店する客の素性を監視する分けだ。カウンター奥に小太りの頭のハゲあがった中年男(50代)と前に痩せた小柄な中年オバサン(50代)がいて店を経営をしている。
「1時間5000円になります。あとドリンクも注文をしてください」
中年のオバサンが俺に聞いてきた。
「長くいたからたら延長してもかまいませんから」
「はあ、そうですか」
ドリンクは500円均一で、俺はバドワイザーを2缶、注文。すぐ側でアイカワが「アタシ、ちょっと化粧室に行ってくるね」と奥へと姿を消した。
 俺は店内の角の柱の側に席を決めて、アイカワがトイレから戻ってくるまで他のカップルを観察してみようと思う。
 このころになると、店の暗さに目が慣れてきた。

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