ははん、分かった。あわよくばアイカワの体のひとつも触ってやろうという魂胆がミエミエだ。そうはいくか。と俺は愛撫をやめてアイカワの体を抱きか抱えてじっとする。火照った体が愛撫の跡のなごりを感じさせられる。中年男は俺のシラケた態度で分かったのであろう。やがて自分の席へと戻っていった。
予定の1時間まであと少ししかなかった。
アイカワはバックの中をゴソゴソと探してコンドームを取り出した。
すぐに俺のズボンのジッパーを下げ、ウエットティシュで軽く拭いてからコンドームを装着。股間におじぎをする体勢に入り、フェラチオ。薄い唇でペニスをくわえて、ゆっくりと単調なストロークを繰り返した。温かい女の体温と柔肉がペニス全体を包んだ。これが生フェラだったら、どんなにいいだろう。アイカワは発射させようと動きを止めない。
「うっ、いいぞ。いく、いきそう」
その声を聞き、ストロークのスピードを早めた。面白いことに周りのカップルたちも俺たちと同じようにフェラチオをしているではないか。さすがにセックスをするのはいないが、一種の異様な光景だ。アイカワは髪を乱かせてスピードをさらに早めた。
「いく、もうダメ」
俺は下から腰を上げて悶え、たちまち絶叫に襲われた。
熱いザーメンのほとばしりがコンドーム中に飛び散り。カリ先はドクドクと脈を強く打っていた。発射したあとは指でゆっくりとコンドームをベニスから外し、床に置いてあるゴミ箱にティシュと一緒に丸めてポイ。
それから退店する時、例の好色な中年男がまた声をかけてきた。
「もう帰ちゃうの」
「ええ」
「そうなんだ、もっと居て楽しんでいきなよ」
うっすらと笑い哀願にも似た顔をしたが知ったことではない。早く出よう。
カップル喫茶を出た後は、アイカワはまたクールな態度を見せた。携帯電話でプレイの終了を事務所に告げ、次ぎの客が待っているそぶりをした。あの店でみせた行為は何だったのだろう。少なくとも俺たちはカップルで本気で悶えたはずなのに。
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