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 バツイチ姉さんと援助交際(4)

いい人生に恵まれた奴
俺はどう考えても、そういう一人じゃない。

 魚心あれば水心というように男と女は互いに引きあうものがなければ難しい。
 女が俺の姿を見てホッと安心したが、正直に言って想像していたのとは雲泥の差だ。
テレクラでは当たり前のことだが…。
 女は身長155センチのヤセ型で服の上からも乳房の膨らみは感じられない。面長の顔立ちに軽くウェイブのかかった黒髪が肩まで伸びていた。その顔を見れば生活の疲れが表れ、濃い1本まゆげに深く刻まれた眉間のシワ。年齢とともに深くなり普通にしていても目立つ。メリハリのない貧相な顔立ちのせいか実年齢よりも老けてみえる。そう、まるで冬になり雪深い山奥から餌を求めて民家に降りてきた日本猿。
この日本猿がこう言う。
「ねえ、どうする?」
「ああ」
 この、ああ と言ったほんの1秒たらずの間に俺の脳はスーパーコンピュター並みに動き出す。どうする、この日本猿とセックスできるのか?  それともゴメンと謝ってこの場を去ってしまおうか? 猿から去る、いいフレーズだ。
 男、毒島平八 42歳。生きるために食うために鳶、産廃業、馬肉卸しなどあらゆる業種に手を染めてきた男だぞ。何を恐れている、何をためらっている。
「ああ、いいよ」
毒を食わらば皿までとは、よく言った。こうして、この日本猿(仮名でノリコ)と西一番街のアーケードをくぐり過激なピンクサロンを横目にホテル街へと向かうのだった。
 俺は少し気分をほぐそうと会話を試みる。
「何かお困りですか? 大変な様ですね?」
「そうなの、今月の家賃を払わなきゃいけないのよ」
ノリコは悲壮感を漂わせて言う。

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