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風俗情報

  テレクラ放浪記(10)-5 Date: 2004-01-12 (Mon) 
風俗体験取材 末森ケン §2・多発性硬化症の女・アイコ・19歳・学生

 アイコと知り合ったのはある年の成人式の日だった。

 その日は朝から大雪だった。テレクラ店の宣伝によれば、悪天候のテレクラは客が少ないうえにコールは多いので、取れ放題ヤリ放題だという。私もその甘言にのった男の一人だった。前日から大雪注意報がでていたので私は初めての〈好条件テレクラ〉に挑戦しようと、股引きをタンスから出し、長靴を手入れして翌日に備えた。

 朝9時、インスタントカイロをシャツに張りつけ、リュックにはテレクラ7つ道具を入れて中央線国分寺市にあるテレクラに出かけた。大雪で電車やバスがストップしたらテレクラの近くにある一泊4千円のレンタルルームに泊まるつもりでいた。テレクラのある駅についたころには風が強まり雪は横に流れていた。それでも駅構内には晴着姿の若い女の団体が数組うろついていた。むろんそのスタイルには不似合いなオカメ女ばかりだ。もし晴着の女と会えてホテルへ行くことになったらどうしよう。当然泊まりだ。田舎からでて来て友達もなく寂しい成人式を迎える女もいるはずだ。そう勝手に思い込むだけでも傘を持つ手は冷たく感じなかった。

 それは杞憂にすぎなかった。客は私以外は1人だけで期待できたし、実際コールも止むことなく、電話は鳴った。だが、当然ながら成人式を迎えた女からの電話は1本もなかった。どういうわけかその日のコールは、そこから1時間以上かかる女ばかりでアポの取りようもなく、無駄な時間を費やしていた。時々その店の階段にある窓から、雪の積もり具合を確認するとぼたん雪に変わっていた。

 その日の最初のアポは近くに住むという30歳のバツイチ女だった。

「温かいものを食べたいね」というその女とは、うどんを御馳走する約束でテレクラの近くの本屋の入り口で待ち合わせをした。

 赤いダウンジャケットを着込んだその女は丸顔で小柄な、どこにでもいるといった主婦の風情だった。武蔵野うどん屋で鴨南蛮を食べて、レンタルルームに誘うと快くついてきた。浅黒い肌だったが体型的に私とは相性がよく、腰の動きも柔らかくて、それなりの射精感に満足した。

 「今日は客が少なくてコールが死んじゃうので、また戻ってきてください。時間はサービスしておきます」と店員からいわれていたので、後日アポでも取っとこうと思いテレクラに戻るともう一人の客は外出していて誰もいず、店員がヒマそうにしていた。雪はさらに強くなり、1時間ほどで帰るつもりで個室に入った。

 アイコと繋がったのは午後3時ころだった。

「私のピアノ聞いてくれますか?」とこの女は初めにいった。
「私の作った詩を聞いてください」「歌を唄うから聞いてくれる?」という女とは数人話したことはあるが楽器演奏は始めてだった。声は低めでゆっくりと話した。射精したばかりなのでこれも一興と、私は彼女のピアノを聞くことにした。

「リクエストしてもいいですよ」といわれたので、私は気取ってサティのピアノ曲を希望した。思いがけず「けっこう得意だから」と相手の女はいって弾きはじめた。

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