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  テレクラ放浪記(3)-5 Date: 2003-05-12 (Mon) 
 テレクラで男と会うのは慣れているようで、物おじもせず私の手を握って離さない。私は金があった余裕でよほど舞い上がっていたのだろう。次々と要求されるまま、彼女たちにドレスや靴などを買い与えた。正美も理美も顔を上気させて喜んでいた。気がつくと七万ちかい。「もうこれまで」と私がいうと「たくさん買ってもらったから、二回会っていいよ」とS美は笑った。

 私は「約束だからホテルへ行こうよ」と誘ったが「その前にカラオケで唄いたい」と理美はいう。三人で宇田川交番裏手にあるカラオケビルに入った。たぶん、その時強引にホテルへ誘っていたら「へんな男につきまとわれている」とかいわれ、交番に逃げ込まれたはずだ。そのくらいの悪知恵はもっていたはずだ。

 彼女たちは飲み物やスナックをテーブルが狭くなるほど注文し、勝手にわけのわからない歌を唄っていた。私が小林旭の歌を唄うと「これって主流だよね」と二人して喜んでいた。

 一時間ほどしてM美がトイレにたった。帰ってきたので「時間もないから、早く行こうよ」と私は促した。理美は「生理になったから、来週でいい?」と私に聞いた。この時なんだかヘンに思った。「悪いけど確認させて」と私は理美のスカートに触れた。彼女は脚を開いて「いいよ」という。パンツの股の部分はゴワゴワしていた。

 私はあせって「正美ちゃんだけでいいから、行こう」と再度要求した。
「一人じゃ怖いし、ヤッパ、来週にする」と顔をキツくしながら答えた。私は学生証を見せるよういった。「それはできないけど、これなら」といって理美は私に手帳をみせた。手帳の電話番号欄には友達の電話番号に混じって「正美、0474−××−○○○○」と書かれてあった。鉛筆で書かれてあれば疑問に思うのだが、ボールペンで、しかも最新に書かれたふしはなかった。「確認の電話するよ」というと「男の声で電話されると困るから」といわれ、私は信用して、その翌週の12月23日に池袋で会う約束をして別れた。

 だが、約束の時間を一時間過ぎても彼女たちはあらわれなかった。三人で入れるホテルを予約してあったのに。その日のために3日まえからオナニーは控えていたのに。3人でする時の体位も考えてあったのに。私はためらいなく正美の自宅へ電話をかけた。「移転のため、現在は取り外してあります」とテープの音がする。初めてだまされたと思った。

末森ケン
 私はしつこくその番号に電話した。

 二週間ほどしたころ、移転先の新電話番号を案内するテープが流れた。私の行動は決まっていた。親がでたら、詳しい事情を話して、だまされた半分でもいいから返してもらうつもりだった。本人がでたら約束を果してもらうつもりだった。
だが、いっこうに人はでず、やっとつながった時は、年寄りの声だった。
「正美さんいますか?」とたずねると、会社へいっているという。なんだかおかしい。
「私は宅急便の業者を装い住所を聞いた。
本人あての親展とし、差出人名は書かず「約束を守ってくれないと不都合なことになります」と脅迫っぽくならないように書いた手紙をだした。

 数日たって「○○○正美といいますが」と男の声で電話がきた。

 話がみえない私は、それまでの事情を詳しく彼に話した。
彼は「同じような電話がかかってきて迷惑している」とのことだった。彼によれば、以前テレクラで会った女子高生に自宅の電話を教えたところ、彼の名前と電話番号を勝手に使われているという。

 正美は男性名だった。

 葛飾区の青砥駅近くの女子高といっていたので、調べて張り込もうかとも思ったが、本人をつきとめてもどうせシラをきられるにきまっている。男性の正美の話には釈然としない部分もあったが、金もあったのでしょうがないとあきらめた。念のため、自分で被害調書のように詳細なレポートを作成し、渋谷警察署に詐欺として届け出た。

 翌年も前年のように、テレクラに足を運んだ。年末には40万ほどあった資金も3月には枯渇し、懇意にしていた近所の地主から、不動産管理アドバイス料として受け取っていた月10万だけがたよりだった。実家に入れるべき家賃は、再就職まで待ってくれと説き伏せ、職安に行ってくるからと嘘をつきながら月に4.5回はテレクラに通った。

 特に大きな成果はなかった。

 相手はふつうの主婦が多く、たまにOLやフリーターともセックスしたが、最初の女、久美子にはほど遠かった。また夏がやってきて、私はテレクラよりテレクラレポートに力を入れた。といっても何の役にもたたないことは判っていた。ただ、テレクラにかけてくる女を分析しようとしていた。
そのころにはテレクラレポートは用紙90枚ほどになっていた。ただのレポートではつまらないので、テレクラ川柳や「テレクラ版ことわざ事典」と題したものも書いていた。ペンネームのダイヤルK2はダイヤルQ2をもじって自分でつけた。

末森ケン テレクラ川柳 ダイヤルK2作
 なけなしのトラの子だいてテレクラ通い。
 タダマンと思うなC級ブタ女。
 待ちぼうけ 今日は三回ハチ公まえ。
 灰皿のタバコ数えし コール待ち。
 目をつむり ハンカチかぶせてクソ女。
 キョンキョンに似てるといわれてその気になって 逢ってびっくり和田アキ子。

テレクラ版「変釈故事ことわざ事典」 ダイヤルK2編
「あ」
合縁奇縁〈出典 心中宵庚申 しんじゅうよいごうしん〉
 もしかしたらイイ女と会えるかも、と幻想をいだいて今日もテレクラは満員盛況。

開けて悔しき玉手箱〈出典 謡曲「浦島」〉
 美人に限って、黒乳たれ尻クソマン大穴。アヌスは黒菊大輪咲。

痘痕も笑窪(あばたもえくぼ)〈出典 易伝 えきでん〉
 やりたい一心であれば、照明を落とせばブスでも可愛く見える。

「い」
一を聞いて十を知る〈出典 論語〉
 テレクラ達人は一分話しただけでその女がヤレるかどうかがわかる、という。
 ダラダラとくだらない長話の男はイヤという女は多い。

一挙両得〈出典 普書 しんじょ〉
 品のいい人妻と濃厚なセックスを楽しみ、そのうえお小遣いまでもらった、という信じられないような話。

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