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風俗情報

  テレクラ放浪記(5)-2 Date: 2003-06-11 (Wed) 
 どうしようもない。

 天気がよければ自分のものだけ洗濯したり、4台ある自転車の整備。
それもない時はどんな些細なことでもテレクラに関する思いついたことだけはノートに記し、テレクラに関する事件の報道があればそれをスクラップする。
たまにコンビニで買ってきたフーゾク情報新聞にあるテレクラ記事を読んで次はここへ行ってみようか、いやここは土地勘がないからやめたとか、たわいのない仕事ぶりだった。

 昼酒をたしなみ始めたのはその頃か。
冬だったらスーパーで買ってきた生ラーメンに炒めた野菜をのせたものかスパゲッティミートソース。夏だったら好物の冷し中華にこれまた野菜や肉を炒めたものをのせた自己流ゴテゴテ冷しを食べながら缶ビールを飲んだ。その後はシャスタといえば洒落て聞こえるが、ただベッドにひっくり返って惰眠をむさぼる。起きて夕食の準備のため近くのスーパーを数件回る。
運動といえばその時自転車に乗ることくらい。
あとは毎日のオナニー。

 オカズは私の好きなヘンリー塚本監督のAV。
特に可愛い女が出演しているわけではなかったが、そのへんを歩いているような現実的な女がアパートで男と絡み合う、そんな日常セックスの描写に劣情した。
夕食には甲類焼酎を炭酸で割り桂花陳酒をたらした特製チューハイを3杯ほど飲みながら相変わらず肉料理。
そのあとテレビを見るかオーディオで好きなモーツアルトを聞きながら寝てしまう。

 気晴らしといえば日曜日にフリーマーケットを散策するくらい。だらしない体は益々肥満して、腰回りはちょうど1メートルにまでなってしまった。
大正中期に片田舎に生まれ、苦学して商業学校を卒業し、大陸の国策企業に勤め、戦後は法人税の専門家としてサラリーマンを50年以上やっている父にとって「家で仕事をする男」は理解できなかったらしく、なにかというと「いつ就職するんだ?」と訊ねられた。

 表の世界のライターだったら「こんなこと書いてるよ」と私の書いた雑誌などを見せられるが、なにしろ、テーマがテレクラしかない私の立場。
「そのうち俺の書いた雑誌みせるから」ととぼけた。母は気がついていたようだった。

 ある日、出版社から送ってきた私の連載してる雑誌が入っている大きな封筒が雨にあたって破れてしまい、中身が出たまま私の部屋の前に置いてあった。
表紙は若い女の顔だったが「淫乱熟女の生活」とか「素人濡れ濡れアソコの中身」とかの活字を見ればソレ系だとわかる代物だ。親子とはいえ話しづらい。
編集者との打ち合わせで深夜に泥酔して帰宅した時は「へんなことしないようにね」と言われた。いくつになっても母は母である。
「就職しようにも歳も歳だし、友達に頼まれた仕事だから」とにごしていた。
母はご近所の目を気にしていたようだった。

 ある朝、ゴミを出していると、隣家のバアサンから「お体は大丈夫ですか?、早く元気になって会社に行けるようになってね」と声をかけられたところから、母は私のことを体を壊して家にいると言っているようだった。その日から違反ではあるがゴミは夜に出すようにした。

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