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  テレクラ放浪記(6)-3 Date: 2003-06-25 (Wed) 
 それ以後1ヵ月ほどは連絡がなかった。安心して私は〈仕事〉に励んだ。

 ある日、私が帰宅すると母が私をよびつけた。
「結婚するならアキコさんを紹介しなさい」という。なんの話かわからない。

 母の話によると、私あてに電話があり、その女は「婚約しているアキコですけど」といったそうな。
あの女だ。
私は「取材で知り合った頭のヘンな女だよ」といってその場を逃げた。
その日の午後テレクラで楽しく女と遊んだ気分はこわれた。

 翌日の外出を取りやめ電話を待った。はたしてその日の午後電話があった。電話口から「レット・イット・ビー」が聞こえる。

「もしもし、ケンさん?。好きよ」「バカっ。もうかけるな、きちがい」。私は大声でどなった。が女はひるまない。
「バカだっていいじゃない。オタクだってバカよ」といって女は電話を切った。
また無言電話が始まることは覚悟していた。が、それはなかった。

風俗体験取材 末森ケン  1週間ほどして私あてに差出人のない手紙が届いた。
 つたない字でこう書かれてあった。
「ケンさんのお家ってステキですね。早く一緒に住みたいな。結婚が楽しみです。アキコ」。
自宅周辺のことも詳しく書いてあり、あの女が住所を調べて来たことは確実だ。
父の名義で電話帳にのせてあり、しかも私の苗字は東京では20件ほどしかなく、それらのほとんどは商売屋で個人は数少ない。これ以上ほっとくと結婚届けでもだされそうだ。役所が受け付ければ戸籍上では結婚したことになり、事情をいって取り消したとしても戸籍上では抹消されず、アキコの名前も残ることは知っていた。
いわゆる〈戸籍汚し〉とよばれる嫌がらせだ。

 私は彼女が入院していたという都下にある病院に電話をした。

 アキコのいったカウンセラーも実在し、私はこれまでの経緯をメモしていたのでアキコのことを詳細に報告した。
そのカウンセラーによれば、○○アキコという名前に該当者はいないという。そのカウンセラーは親切にも「一応調べてみます」といっていた。所管の警察にも相談したが「事件としては扱えない」と予想していたとおりの返答だった。

 私は区役所の戸籍係に事情をいって、婚姻届が出されたら受け付けないよう依頼した。担当者は「書類が完備されていれば受け付けざるを得ません」といっていたが「注意だけはしておきます」となにやらメモをしていた。

 不思議なことに病院のカウンセラーに電話して以来、アキコからの連絡はなかった。
 その〈事件〉からしばらくたって、私あてに池袋の有名なホテルから書状が届いた。
 その中には結婚披露宴の案内パンフレットが入っており、日取りが決まったら連絡を下さい、と担当者の名前が書かれてあった。電話してみると○○アキコさんの依頼で、という。
ことの子細を話すわけにはいかず、もしまた話があったら無視するよう依頼した。同じような話があるのか、担当者は「何かご事情があるようですので、承知しました」といっていた。

 その後数回区役所に確認したが婚姻届けはだされていなかった。他のターゲットが見つかったのか、以来連絡はない。

その後、この病院の別の女患者二人とかかわりあうことになる。

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