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風俗情報

  テレクラ放浪記(7)-3 Date: 2003-07-09 (Wed) 
 ホテルへ行く道すがら彼女たちの〈商売意識〉を聞くことにした。

「ちょっと遠いけど、すごくキレイなホテル知ってるから」と嘘をいって、できるだけ時間をかせいで話を聞き、ホテル直前になって慌てたフリして財布を取り出し「あっ、そうだ、さっき買物して金がないんだ。ごめんね」といって別れる。

彼女たちは〈素人女〉であれば男は必ず自分を〈買う〉ものと思い込んでいた。
ドギつく化粧した顔はしわだらけで、はっきりソレとわかる東南アジア製の衣服。
体型といえばデブというより〈もっさり〉と表現したほうがいいような崩れた体。そして目と歯が汚いのも共通していた。
電車で隣に座られたら、今日は運が悪いな、と感じるアレだ。
そんな女でも私が近づいて挨拶すると「私でいいんですか?」と聞くこともなく「どこのホテルへ行く?」という。
ホテルの直前で「あっ、金なかったんだ。ゴメン」というと決まってブーたれるのもこの手の女だ。
「ふざけんじゃねえよ。バカおやじ」「ドンくさーい。お金もないの?。テレクラに来ないでよ」などはいいほうで「呼び出しておいてなんのマネ?。オタクの顔は覚えたから二度とヤルなよ」と脅されたこともある。

 ダンピングに応じるのは若い女だった。プライドのせいか30代半ば以上の女は一銭も値下げをしなかった。
私は率直にサービスの内容を聞いた。
「キスは?フェラチオは?時間は?エッチは一回だけ?給料日前だから少しオマケしてよ」と聞いて「いいよ好きにして。あたしだってエッチしたいからぁ」と答える女のほうが若さ、外観、マスクともに優れていた。
「カレに悪いからキスとフェラはだめ。1時間くらいで1回だけ」という女に限って最悪の女だった。
お金がほしい理由は年齢に関係なくだいたいが「旅行の資金。ブランド品が欲しい。クレジットカードの返済金」だった。
バツイチの30代後半の女が「せめて夏休みには子供と旅行したいと思って」といっていたのが唯一現実的な理由だった。

風俗体験取材 末森ケン ちなみに今、20歳前後の女に圧倒的に多いのが「携帯電話料金の滞納」で、中年人妻援交は「生活資金」である。

 ここでみられる売買形態はまるでフリーマーケットだった。私は10年ほど前からフリマめぐりをしていた。

 元々雑貨が好きなので、その間にダンボール箱にして10箱近くがたまり四畳半の納戸は足の踏場もなくなっていた。特に何に使うという目的もなく私はかわった物を見つけると買い込んでいた。

 援交女と遊ぶ時は自然と〈フリマの原則〉で対応していた。
フリマをビジネスにしている売人は避ける。値札はあくまで〈メーカー希望小売価格〉である。商品価値のわからない素人が掘り出し物を持っている。閉店間際を狙う。
基本的に千円以上の物は買わないが、どうしても欲しいものであれば隅々まで点検してから買う。
電気製品は壊れている場合も考えて、売人の電話番号を聞く。普段からウィンドウショッピングを欠かさずモノの鑑定眼を身につける。プロの多い都心は避ける。「イタリア製だから」「フランス製だから」「未使用品だから」という売り言葉を鵜呑みにせず自分の目で確かめる。
季節、時間によって相場は変わる。貧乏臭いババアほど売値が高くまけない。

 数年前、柄もタグも本物と信じて1万円で買った未使用のバーバリのコートを質屋に入れようとしたら、香港製の偽物だといわれた。
売人は品のよさそうな年配の婦人。最近、女子高生らしい女から2千円で買ったMDプレイヤーは動かなかった。
渡されたメモに書いてあった電話番号は使われてなかった。
いかにもレトロでアーミーなジッポライターを5千円で手にしたが、ベトナムでは観光客用に千円以下で売られている〈新品〉だと知った。これを売っていた男はよく見かけるので、フリマ主催者に訴えた。が、以後も同じような輸入品らしき物を売っていた。
私は男に返金を求めたが「買ったほうが悪い。商売のじゃま」といわれ「警察ざたにするし、おたくの顔は写真に撮ったからフリマの雑誌に載せるつもりだ」と脅した。
男は私につかみかかってきた。興奮した男は東南アジアらしき外国語をしゃべった。
「ポリス、ポリス」と私が叫ぶと千円札を3枚取り出して私に渡した。それ以上追求するのはやめた。

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