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  テレクラ放浪記(9)-3 Date: 2004-01-06 (Tue) 
 その前に理由を聞くため喫茶店に誘った。「さっき飲んだばかりだから」といって女はそのまま私の反応をみるかのようにだまった。

「言っとくけどお金の話だったらゴメンね」。

女は「それって私のこと?。すっごい失礼ね」といって顔を緊張させた。
私は慌てて「ごめん。テレクラって多いじゃない」といって笑顔でとりつくろった。

 と、「暑いよね、ここって。涼しいとこに行きたいね」と女が言う。
あまりにも出来すぎた誘い方に私は疑問をもった。
財布抜きの防衛手段は知っていた。
女と別々に風呂に入らないこと。
貴重品はバスタオルにくるんで離さないこと。
だいたいその手の女は不自然に愛想がいいか、反対に無愛想な場合が多いものだ。
その点からいうとこの女は少々無愛想だった。

 「どうしようかな」といいながら私はタバコを取り出してゆっくり吸った。

 立ち話では落ちついて話ができず「どこに住んでいるの?、お子さんは?、ここへはよく電話するの?」と主婦には一番嫌われる質問をしてしまった。
それには答えず、女はあっち向いていた。

どうもうまくかみ合わない。

どうにでもなれ、と私は「ホテルでいい?」と聞いた。

「わかってんじゃん、おじさん。マジメそうで心配だったのアタシ」といって急に笑顔になった。
「お説教でもされるんじゃないかと思ってぇ」。
饒舌になった女は歩きながら私の手をとってしゃべり始めた。

「この前ねえ、ヤッパ年いった人と会ったの。聞いてよ、ひどいの。遊んだあとに『結婚しててこんなことしちゃダメじゃない』っていわれて。ムカつくでしょう。アタマきてぇ。『ホテル代は払うからすぐ帰ってよ』ってやっちゃった」と憤慨している。ピンクサロンやフーゾクに出没する〈説教オヤジ〉のことらしい。

 事前に目をつけておいたホテルへ入ろうとすると「ここ、キレイじゅないから」といって先に進んだ。そのホテルはこじんまりしていたが、女によると「お風呂が広くて、サービスタイムが午後6時までで、かわいいアイスがついてて親切」だという。女の、景品好きは年齢とは関係ないらしい。

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