■ テレクラ放浪記(9)-11 | Date: 2004-01-06 (Tue) |
翌日朝、テレクラに行ってこのことを話すと「ああ、あの女ですか。熊本のソープにいた女でしょう?。ヒモから逃げて来て時々小遣いかせぎをやってるらしいですね」といわれた。
「遠くに住んでいるっていってたけど」「それも嘘ですよ。お客さんがよく天神でみかけた、といってますよ」。
知らない土地の人妻との一夜を思い出にしたかったが、一瞬に打ち砕かれた。
熊本のソープは日本一と聞いている。ソープ嬢のサービスに情があって、関西ばかりか首都圏から飛行機で遊びに行く人もいるらしい。どおりで舐める技術はうまかった。それを格安の値段で味わったのだからいいか、と自分で納得した。
午後3時ころまでには4人の調査票が完了していた。
そのあと近くの自宅から電話している、といった女と繋がった。
「東京から、週刊誌の取材で来ています」というと「なにそれ」といって今回の私の仕事について聞いてきた。
正直に話すと「電話だけでいいの?」と、昨日の女と同じことを質問された。直接会って話を聞けた場合は5千円の謝礼は渡すように指示されてはいた。
そのことをいうと「すぐ近くだから遊びにくれば」とその女はいった。東京ではまずない誘い方だ。
私には、その日の最初のアポは会える確率が高い因縁がある。女に教えられたとおり、タクシーを拾い「○○商店街に」と告げた。そこへは5分もしないで着いた。
コンビニの脇を入って教えられた公園に入ると女は待っていた。歳は30代半ばチョイという感じで若作りの化粧をしていた。女はだまって私を促して先に歩いた。腰はほっそりとしていて赤いサンダルが印象的だった。
彼女はマンションとアパートの中間くらいの小さな建物に案内した。
階段を登って3階につくと口に人指し指をあてて私をみて、ゆっくりドアを開けた。少女趣味の部屋だった。そこかしこに人形が置いてあり壁全体にはピンクのカーテンがかけられている。
「ご主人は」と聞くと「鹿児島へ出張中だから」といって私を電気コタツに入るよう勧めた。改めて顔を見ると厚めの化粧以外は好感のもてる感じだった。いつもスーパーで見かける地味な人妻が、お出かけなのかハレの恰好をして、その色気にハッとした時のような驚きに似ていた。
「もっとお話ししたかったから」といってお茶をだす。〈謝礼〉を出すべきか迷ったが、話を聞いてからにすることにした。
「あんな話するの初めて。編集長さんなの?」と女は質問した。
「フリーですから」と答えると「いつもこんなことしてるの」といって私の目を覗き込んだ。私は今回の取材用につくった名刺を渡して、この企画について趣旨を話した。「役得ってわけ」と急に女はいった。その意味はわからなかった。「どういうこと?」「だって、女と遊べるじゃない」。名刺を出した手前、私はしらばっくれて「仕事ですから」といった。「わあ、お固いこと。嫌われたのかしらワタシ」といって女は笑った。
「それよりさっきの話の続きは?」といって女は取材を促した。
「夜の生活が聞きたいんでしょう?」とはっきりわかるような意味ありげな目つきに、私は反応した。
「アナルセックスの経験は?フェラチオはどんなふうに?好きな体位は?一番感じる性感帯は?」私はアンケートとは別に勝手に質問をした。
女は「そんなこといって、私を口説いているつもり。そんなにしたいの」といって私の手を握った。
結局その女に誘われるように、その部屋で下半身だけ裸になってセックスした。「久しぶりよ、こんなこと」といって女は腰を動かしていた。
それが終わるとテレクラに戻る気はなくなっていた。トンコツラーメンだったら東京のほうが美味しいと言われていたので、居酒屋で煮込みを食べながらイイチコのお湯割りを3杯ほど飲んでホテルに戻って寝た。